相互インダクタンス
(トランス)の実験
電気的につながっていない2つのコイルで、どちらか片方の起こした磁気により、もう片方が電気を起こす現象を相互インダクタンスと言います。 この性質を強め、応用した物がトランスで、電子機器の電源や自動車の点火系などに使われています。 トランスとは、電磁石と発電機が磁気的につながった形になっています。 トランスの特性は、この電磁石と発電機の特性で決まります。 電磁石、発電機の特性は 電磁石の磁力の強さ・・・流す電流、コイル巻き数を増減 発電機に発生する電圧・電流・・・コイルの巻き数の増減や磁気の変化速度 などで決まります。 理論的に損失がなく電磁石側、発電機側のコイルの巻き数が同じなら、電磁石で発生した磁界を発電機で受ければ、電磁石側と同じ電気が、発電機側に起こるはずです。 ここで、電磁石のコイルには手を加えず、発電機の導線の巻き数を変更すると、 巻き数を2倍にすると、電圧は2倍高く、電流は1/2に、 巻き数を1/2にすると、電圧は1/2、電流は2倍に、 なり、電圧を自由に変える事ができます。 電力としては変わりませんが、電気のテコ的働きをするのがトランスです。 |
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☆材料☆ 0.4mmポリウレタン線2m(100回巻用)、 6m(300回巻用) (もちろんエナメル線でも出来ます。電磁石1つ作るのに1m使いますので失敗しても良いよう多めに買いましょう。) ブレッドボード、LED(高輝度)、タクトスイッチ 単2乾電池1本 電池ソケット(単2乾電池用) 5cm釘一本 釘の入る細めのストロー |
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☆工具☆ ニッパ ヤスリ1200番 テスター リード線の先がみの虫クリップのリード線 |
作り方
作り方は、電磁石の作り方、発電機の実験を参考にして製作して下さい。 巻き数の少ないコイルは100回、多い巻き数コイルは300回巻きました。 それぞれ、少ない巻き数のコイルは、34回、33回、33回と3段巻きでセロハンテープでとめ、多い巻き数のコイルは、50回を6段重ねて巻きました。 紙やすりで端のメッキを剥いてできあがりです。 チェックは、テスターの抵抗計で、電磁石側と発電機側が導通していない事を確認し、また、それぞれのコイルが電磁石として金属を吸い付けるか試してみてください。 |
実験
とても性能が悪いので、手作りトランスは簡単な変圧実験だけしました。 電磁石側、発電機側の巻き数の多少で、どのような違いがあるか確かめてみてください。 |
実験 1.昇圧実験(電磁石側の巻き数→少、発電側の巻き数→多) | |
磁界の変化がないと発電しませんので、スイッチS1をON/OFFしてLEDをみてください。 コイルは、電流を流し始めると、流すまい抵抗し、電流を切ると流し続けようとします。 より高い電気が起こるのは、変化の速い電気を切る時です。 LEDが点灯しない場合、発電側で発生する電気の向きとLEDの極性が逆向きと考えられますので、LEDの向きを変えてみてください。 |
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実験 2.降圧実験(電磁石側の巻き数→多、発電側の巻き数→少) | |
降圧実験なのでLEDは点灯しないはずですが、電磁石側の自己インダクタンスで高い電圧が起こり、発電側で降圧されてもLEDを点灯させるだけの電圧になっているかもしれません。 点灯しないかもしれませんが、点灯しなくてもLEDの向きを変えて試してください。 もし、LEDが点灯した場合、実験 1と明るさを比べてみてください。 |
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市販の電源トランスを使った実験
手作りトランスでは性能が悪くわかりにくいので、市販の小型電源トランスを使って実験してみました。
自己インダクタンス・相互インダクタンスの確認には、ネオン管を使います。
60〜70Vないと点灯しないネオン管を、僅か3V電源(単3乾電池2本)のON/OFFで点灯できるでしょうか。
(※写真ではつなぎっ放しですが、磁界が変化しないので付けたり離したりしてください。)
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☆材料☆ ネオン管 電源用小型トランス(100V/14V) 単3乾電池x2 電池スナップ 電池ソケット(単3乾電池2本用) |
巻き数の少ない側の自己インダクタンス | |
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巻き数の多い側の自己インダクタンス | |
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巻き数 少→多の相互インダクタンス | |
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巻き数 多→少の相互インダクタンス | |
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巻き数の少ない側の自己インダクタンス | 消灯 |
巻き数の多い側の自己インダクタンス | 点灯 |
巻き数 少→多の相互インダクタンス | 点灯 |
巻き数 多→少の相互インダクタンス | 消灯 |