サイリスタ (Thyristor) /
SCR(Silicon Controlled Rectifier)
シリコン制御整流子
直流動作実験





部品箱から、サイリスタが出てきました。
15年以上前に購入したものです。
こんなに小さくてもAC100Vを制御できますが、
ここでは直流での簡単な動作確認実験をします。
トランジスタで同じ回路を組むより
シンプルにできます。
※今は、耐圧が上がった物が手に入ります。




SF0R3D42のピン配置




SF0R3D42の回路記号




SCRの内部等価回路



SF0R3D42の最大定格

項      目 記 号 定 格 単位
ピーク繰り返しオフ電圧
およびピーク繰り返し逆電圧
(RGK=1kΩ)
VDRM
VRRM
200 V
ピーク非繰り返し逆電圧
(繰り返し無し<5ms、RGK=1kΩ
Tj=0〜125℃)
VRSM 300 V
平均オン電流(単相半波Ta=45℃) IT(AV) 300 mA
実行オン電流 IT(RMS) 450 mA
ピーク 1サイクル サージオン電流 ITSM 9(50Hz) A
電流二乗時間積 I2t 0.4 A2S
ピーク ゲート 損失 PGM 0.1 W
平均 ゲート 損失 PG(AV) 0.01 W
ピーク ゲート 順電圧 VFGM 3.5 V
ピーク ゲート 逆電圧 VRGM -5 V
ピーク ゲート 順電流 IGM 125 mA
接 合 温 度 Tj -40〜125
保 存 温 度 Tstg -40〜125



SF0R3D42の特性表

項       目 記号 測定条件 最小 標準 最大 単位
ピーク繰り返しオフ電流
およびピーク繰り返し逆電流
IDRM
IRRM
VDRM=VRRRM=Rated
RGK=1kΩ,Tj=125℃
- - 100 μA
ピークオン電圧 VTM ITM=2A - - 2.0
ゲート トリガ電圧 VGT VD=6V,RL=100Ω,RGK=1kΩ - - 0.8
ゲート トリガ電流 IGT - - 200 μA
ゲート トリガ非電圧 VGD VD=Rated,RGK=1kΩ
Ta=110℃
0.2 - -
保 持 電 流 IH RL=100Ω,RGK=1kΩ - 4 - mA
熱抵抗(接合ー周囲間) Rth(j-a) Junction to Ambient - - 250 ℃/W



サイリスタはシリコン制御整流子とも呼ばれ、名前の通り、ダイオードを電子のスイッチ(ゲート)でON−OFF制御出来ます。

SCRの性質

ゲート端子に、特性表の最低値以上のトリガ(トリガ電圧、トリガ電流
)と加えると、ダイオードとしてはたらき、トリガを加えないと、アノード端子、カソード端子に交流・直流が加えられているいないに関わらず、スイッチを切ったように電気は流れません。(リーク電流はあります。)

また、一度トリガを加えると、アノード・カソード間に順方向電流が特性表の保持電流以上流れていれば、加えていたトリガをOFFにしても、電流は流れつづけ、アノード・カソード間の電流を切るか、交流のように逆方向から電流を流さない限り、電流を流し続けます。




LEDでSCRの動作を確かめる簡単な回路
回路図


SCR回路の動作

上の回路の動作は、スイッチを入れるとLEDが点灯し、電源を切るまで点灯したままです。

G(ゲート)とK(カソード)に接続された抵抗R2は、誤動作防止用の抵抗です。
サイリスタは、ゲートにトリガを加えなくても内部のリーク電流により動作してしまったり、高速動作などで、内部の半導体のPNPNの接合部が接合容量でコンデンサとして働いてしまい、充電された電気によって動作してしまう事があります。
リーク電流や接合部に充電された電気が悪さをしないように、抵抗を付けて逃がしているのです。
このサイリスタでは、特性表に出てくるRGKがそれにあたります。
(もっと大きなサイリスタではこの抵抗をはじめから内蔵してあるものもあります。)
R1は、R2と分圧してG(ゲート)に充分にトリガがかかるような値の抵抗を入れます。
(ピーク ゲート 順電圧・順電流を越えない範囲で))
今回は充分に余裕のある値になっています。
R3は、保持電流の2、3倍以上で、LEDを点灯する程度の電流を流すことが出来る値の抵抗が必要です。
(平均ON電流で最大300mAまで流せます)
今回は、5〜6V電源で良く使う330Ωにしました。




LEDでSCRの動作を確かめる簡単な回
実体配線図




トランジスタによるSCRの実験
を参照下さい