リミッタ−回路・サーミスタによる
ウィーンブリッジ発振回路の実験





リミッタ−にサーミスタを使って実験してみました。
今回は、電子工作などに使う円盤型のタイプと、
ガラス管に入っているタイプで実験してみました。
サーミスタは温度が上がると抵抗値が下がるので、
R3に入れて、リミッタ−の実験をします。



電子工作でよく使われるトランジスタの温度保証用のサーミスタです。

手元にある物で、数Ωから数十kΩの物がありますが、オペアンプの出力を考えると、あまり小さな抵抗だと、負担が大きいので、今回は手元にあった2.5kオームの物を使いま
した。




調べたサーミスタの簡単なデータ
実験回路図

抵抗値をテスターで測ると、R3は2.33kΩでした。
これで発振する抵抗R4を、5kΩの半固定で綺麗な正弦波を出力する位置に調整したところ、1.15kΩでした。
実体配線図
出力波形(R3:RTH2.33k、R4:1.15k)

正弦波の波形は出ましたが、常に振幅が上下に伸縮して、速くなったり、遅くなったり、バネのように弾んだり、ボールがバウンドして徐々に止まるようにして発振しなくなったりで、安定しません。
手を近づけたり、息を吹き付けても発振が止まります。
また、午前中調整した回路が、午後、温度が上がって発振しなくなっていたかと思うと、風が当った時だけ発振して波形が出たりしています。

R4を10kΩ、R3を18kΩの固定抵抗+サーミスタの組み合わせにして、温度による影響を少なくしましたが、それでも安定して発振しません。
これなら抵抗だけでの方がよほど安定して発振します。
このタイプのサーミスタはリミッタ−には使えないようです。
リミッタ−として使えるサーミスタは、温度で値の変わる円盤型のタイプではなく、サーミスタ自体に流れる電流の熱によって急激に温度が変化し、抵抗値の値が大きく変わる、ガラス管に入ったタイプだということがわかりました。
そこで、パーツ店などでガラス管タイプのサーミスタを探してみましたが、見つけられません。
ところが、オークションでサーミスタで検索すると、運良くガラス管タイプのサーミスタを見つけることができました。

抵抗値をテスターで測ると、
BS−52と書いてある方が600Ω
中古の型名のわからない方が7.5kΩ
でした。
出力波形(R3:RTH600Ω、R4:VR1kΩ

はじめ、600Ωのサーミスタの1/2にR4のVRを設定して、294Ωから発振しはじめました。
(1.6Vp−p)
徐々に値を下げていき、R4を100Ωまで下が、それでも綺麗な正弦波を描き続けていましたが、あまり抵抗を下げるとオペアンプの出力容量が心配なので、ここで止めました。

(6Vp−p)
抵抗だけなら、R3とR4の比は、当然波形がクリップしているはずの値ですが、リミッタ−のおかげで波形は綺麗な正弦波です。

サーミスタに触ると波形の振幅が若干小さくなりましたが、それ以上は小さくならず、発振しつづけました。
出力波形(R3:RTH7.5kΩ、R4:VR10kΩ

はじめ、7.5kΩのサーミスタの1/2にR4のVRを設定して、3.7kΩから発振しはじめました。
(3Vp−p)
徐々に値を下げていき、R4を1kΩまで上げ、それでも綺麗な正弦波を描いていましたが、今回はここで止めました。
(8Vp−p)

こちらも、抵抗だけなら、R3とR4の比は当然波形がクリップしているはずの値ですが、リミッタ−のおかげで波形は綺麗な正弦波です。

サーミスタに触っても波形の振幅は殆ど変化無く、安定して発振しつづけました。